
畜ペンとは
野球ファンにはおなじみだという「畜ペン」。
明らかに何かの略称だと思われますが、いったい「畜ペン」とはどういう意味なのでしょうか。
畜ペンの意味
「畜ペン」とは、プロ野球チーム・ヤクルトスワローズのマスコットキャラクター、「つば九郎(つばくろう)」の愛称です。
「スワロー」は英語で「ツバメ」なので、その名のとおりつば九郎も、ツバメがモチーフです。
しかし黒い顔に羽、白いお腹、ずんぐりむっくりな体型で二足歩行する姿から、「ツバメというよりペンギンぽい」と思われることが多いようです。
つまり「畜ペン」のペンは、ペンギンのペンなのです。
では「畜」は?
これはそのものズバリ、「畜生」の略です。
実はこのつば九郎、可愛い外見に反してかなり攻撃的で皮肉屋。
普通球団のマスコットキャラといったら、アクロバットな芸で選手を応援したり、活躍してホームに戻ってきた選手をたたえたり、元気で愛らしい姿を見せるものが多数です。
しかしつば九郎は、他球団のマスコットキャラにいじわるしたり、痛烈な時事ネタに絡めたフリップ芸を披露したりと、とにかく周囲をハラハラさせる存在なのです。
畜ペンの悪行?
#いま自分がもってる意味不明な画像を晒せ
おいやめろこの畜ペン pic.twitter.com/WIRnyrzg7J— リンロ (@Hawkgirl504653) 2019年2月12日
仮にもセ・リーグの公式球団マスコットなのに、「畜生」呼ばわりされるなんて、つば九郎はいったいどんな悪行をやらかしたのでしょうか?
つば九郎同様、マイペースで人気の球団マスコットキャラといえば中日ドラゴンズの「ドアラ」がいますが、つば九郎は彼をもって「自由奔放さでは、ボクの上を行く」と言わしめています。
同期の二人(?)は、筆談で対談したり、著書出版記念イベントに一緒に登場したりして仲いい風ですが、つば九郎がドアラの人気に嫉妬したり、中日のチアダンスに乱入したりと、遠慮がないようです。
他にも、同じマスコットキャラ相手だと、読売ジャイアンツの「ジャビット」に股間蹴りを入れたり、福岡ソフトバンクホークスの「ふうさん」の顔面に容赦なく蹴りを入れたり、ジャイアントスイングしたりと、完全にやりたい放題です。
マスコットだけでなく、人間相手でも遠慮しません。
居合わせたカップルに愛想を振りまく傍ら、後ろ向きに「わかれろ」とフリップを出していました。
2016年、「マナーの悪い客がいたら何という?」という質問に、「このはげ~という」とフリップに書いて答えています(某議員の時事ネタでした)。
マツダオールスター2016の要項発表会見が品川プリンスホテルで行われた際には、サプライズゲストで乱入し、司会者から「なぜ来たのか?」と聞かれ、
「ほてるみかづきにいくよていが、ぷりんすほてるにきちゃった」
「こうようしゃ またせてますのでかえります」
と、桝添都知事(当時)を連想させるネタを披露しています。
当然会場はざわつき、司会者や真中監督(当時)も慌てていました。
他にも彼の毒舌は、枚挙に暇がないほどです。これが畜生呼ばわりの所以ですね。
畜ペン
「畜生ペンギン」などと空恐ろしいあだ名をつけられるくらいだから、さぞかし忌み嫌われているのかと思えば、逆にファンから面白がられて、愛されているつば九郎。
つば九郎が初めて登場したのは、1994年4月の阪神タイガース戦。球団のユニフォームを身に着けていない(ヘルメットのみ)、珍しいマスコットキャラでした。
しかし2008年には、プロ野球のマスコット史上初の「ホームゲーム通算連続1000試合出場」を達成し、2015年6月には1500試合連続出場を達成するという快挙を成し遂げています。
現在2000試合達成に向けてがんばっているようです。相当の人気がなければできないことですよね。
つば九郎はブログも書いていますが(文章は全部ひらがな)、他団体のマスコットキャラと交流したり、スワローズのチームメート(選手は基本「くん」づけ、地位の高い人は「さん」づけ)とも仲良くしたりしている様子がうかがえます。
選手の引退や監督の退任の際には、ブログであたたかいメッセージを送っています。
先述の真中監督の退任時には、
「じしゅせいをおもんじるかんとくでした」
「まなかかんとくのなみだを、わすれません」
「やくるとすわろーずひとすじ24ねん、ありがとうございました」
と長文で書き込み、その切なさに球団ファン以外の人も涙しました。
いかがでしたか?
かわいいだけの球団マスコットとは一味もふた味も違うつば九郎。
これからも「畜ペン」の名に恥じない、自由奔放な姿に注目したいですね。